2026/07/28 15:35
枝のモビールは、長野県安曇野市を拠点に置いている貝山伊文紀の作品で、枝の形を読み解いて刹那的に構成する事で浮遊する彫刻に昇華される造形作品。
日トではオープン当初から彼の作る「枝のモビール」を自然光の入る高窓の付近に展示しています。

【カルダーのモビールと貝山伊文紀の枝のモビール】
「モビール」とは1930年ごろにアレクサンダー・カルダーが制作している動く彫刻に対して美術家のマルセル・デュシャンが与えた名前と言われています。天井から吊られた幾何学的な形が有機的に動く様は、見る者の想像力を掻き立てたのではないかと思います。
貝山伊文紀の作品は、形式としてはモビールをとっているが、拾い上げた木の枝を忍耐強く見続けることで、その琴線に触れるのだという。それは枝の良いところを見つけるというのとは違い、そのものを受け入れることで本質的な美しさを受け取っている、という方が彼の作品を見ているとしっくりきます。

【枝の本質・内在する美しさ】
どういう感覚で構成しているのかを聞いてみたところ、「枝は宙に浮いているもの、空間に伸びていくものという枝の本質と、木の枝に内在する美しさを表現することが目的」という言葉が返ってきました。
それは、彫刻的な構成よりも先に拾い上げた枝と心象を共有するという行為の方が先に行われているのでないかと思える言葉でした。
現代で聞くモビールという名前から想像するのは、天井から吊られた様々な形のものが動き、緩やかな視覚的刺激で少し幸せなイメージがあるが、そのカテゴリーとも彼の作品は違う気がする。上手い表現は見つからないが、私の中では「浮く彫刻」と呼んでいる。

【暮らしにおける作用】
一つ一つの枝の琴線に触れて、紐づけるように構築し、それを僅かな風で揺れるよう繊細な金具でそれぞれの枝が宙に浮く。ゆっくりと動き続ける彼の作品を見ていると、今この瞬間が大切な時間であるという事に気付かされ、時間が流れていく事に焦りではなく、敬意の様な気持ちが湧いてくる。社会表現でもなく、ただただ美しいことを求めて作られた作品からはそんな感情を抱きました。

暮らしの中で目に入るもの達からは、徐々に徐々に思いもよらぬ作用を受けることがあります。
【動画】枝のモビールが静かに揺れる様子(instagram)
https://www.instagram.com/p/DauuHqWPgQh/
オンラインショップで「枝のモビール」の詳細を見る
https://hitogallery.theshop.jp/items/150137593
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