2025/06/13 14:29
我が家では南部鉄器や鉄で製作された料理道具を日々、使っています。
今回は岩手県の南部鉄器工房、釜定がつくる羽釜(3合用)の話です。

南部鉄器で炊くご飯はとてもふっくらしていて、お漬物や佃煮などご飯のお供だけでもどんどん食が進みます。それほどに美味しく炊けるのは、鋳物の特徴である熱伝導率の良さで、全体にじっくりと火が通るからです。




江戸時代に多く普及した羽釜の形状のオマージュとも言えるこの形は、理にかなっています。火を小さな羽で受けて、効率よく内部に熱を溜める事と、木製の釜蓋へ熱が届きにくくもなっています。さらに、羽の上に取り付ける取手は本体から離れる様に羽の形状を利用しています。

一見、羽釜のデザインイメージを残したような形状も、機能的に処理されており、現代の台所でしっかり使える様によく考えられています。サイズ感も小ぶりで、いくつかの鍋を同時に置いた時にも邪魔にならず、コンパクトな台所でも活躍します。
通常、羽窯でご飯を炊く時は60分程度浸水したお米を釜に入れて、水を分量まで入れ中火にかけます。
蓋をして沸騰(もしくは吹きこぼれたら)してきたら弱火にして10分ほど待ちます。この間、シュワシュワぶくぶくと蒸気と共に少量の吹きこぼしを確認しながら待ちます。その後、10〜15分ほど蓋を開けずに蒸らします。これで美味しいご飯が炊けます。
結構簡単に美味しいご飯が炊けるのですが、我が家(主に私が)では吹きこぼしながら炊くのに少し抵抗があって、吹きこぼさないで炊く方法を色々と試して、最近では下記の方法でほとんど吹きこぼさずに美味しく炊けるようになりました。
1. 60分浸水させた(40度のお湯で10分浸水でもOK)お米三合を羽釜に入れる。
2. 630mlくらいの水を羽釜に入れて中火より少し強めの火にかける(まだ蓋はしない)
3. ぶくぶくと湯が沸いたら、タイマーを10分にセットして弱火にする。
4. 6分を過ぎた頃に蓋をのせて、弱火のまま残りの4分を待つ。
5. タイマーがなったら火を消して、12分程度蒸らす。
6. 蒸らし終わったら釜の底から掘り起こすような感じで空気を入れながらほぐして完成。
※ お米の種類や水の硬度で違いが出てくるので、ご家庭の状況で調整してみてください。








我が家では、食卓に羽釜としゃもじを置いてご飯を食べますが、テーブル上に羽釜がある情景もなんだか良く、食欲をそそられます。昔の文化を残しながら現代の形に昇華された、釜定が生み出す日本の逸品だと思います。
