2025/04/17 16:59
我が家では毎朝、私か妻のどちらか早く準備ができた方がドリップコーヒーを淹れます。
コーヒーミルはギャラリーでも使っているイギリスのROK社が作る手挽きのミルで、台所からゴリゴリと豆を挽く音が聞こえてくると「もうすぐコーヒーが入るなぁ」とそわそわと目が覚めます。
元々コーヒーはよく飲んでいましたが、自宅でドリップする事もなく当時の職場が東京の赤坂にあったので、近くの珈琲屋さんで飲むか、駅に付帯しているお店でテイクアウトして飲むのが常でした。


山口に移住してインテリアデザイナーをやりながら暮らしの道具を扱うギャラリーを開きたいと考え始めた頃に、立ち寄った本屋さんでSINGLE O JAPAN の存在を知りました。ちょうどその本を読んだのが錦糸町で、そこからそう遠くない両国にSINGLE O JAPANがあった事と、その日にちょうどテイスティングバーとしてオープンしている日だった事もあって、そのままお店まで足を運んでみました。
お店は海外テイストの雰囲気で、注文を受けてくれたスタッフさんもなんだか垢抜けた感じで、淹れてくれたコーヒー(確かケニアの豆でペーパーフィルター)を飲んだ時に、今まで味わったことの無い香りと味で、芳醇というのはこういう事か。と理解したのを鮮明に覚えています。コーヒーが苦手だった妻はカフェラテを飲んでいましたが、僕の顔を見て「ちょうど良い!。味も温度もちょうど良い」と驚いた顔をしていました。その日から、苦手と思っていたコーヒーは美味しく飲めるようになり、徐々に道具を揃えて毎朝コーヒーを飲む様になりました。

そして、その時コーヒーを淹れてくれたバリスタさんが、日トで何度かワークショップを開いてくれている成沢勇祐さんでした。コーヒーを飲んだその後すぐに、ぼんやりとしたお店の計画やそのお店でコーヒーも提供したい事を話すと、すぐに代表の山本さんに繋いでくださった。後日、作りたいお店の話やコーヒーについてはまだ知識がほとんど無い事もお話しし、それでもSINLE Oの豆でコーヒーを提供したい事をお伝えすると、快く返事を下さった。当時、何も持っていない私たちにとってその返事がどれほど心強かったか。いまだにその瞬間の嬉しい気持ちを思い出します。格別に上手いコーヒーを淹れてくれた成沢さんと、曖昧な未来に共感して下さった山本さん。ありがとうございました。
実は返事をいただいてからギャラリーができるまでは5年もかかってしまい、5年振りに成沢さんに連絡すると、時々私たちの事を思い出してくれていたらしく、連絡を喜んでくれました。(成沢さんは現在SINGLE O を卒業して、海外に身を置いていますが、いつかまた山口に来てくれると信じて楽しみに待ってます)
そんな、僕たちにとっては奇跡のような出会いから、日トではSINGLE O JAPANのコーヒーを提供しています。3週間に一度程度、仕入れる豆が変わるので、運営している僕たちもどんな味のコーヒーが出てくるのか毎回楽しみにしています。
ドリップの方法はペーパーフィルターを使ったもので、ドリップ中に振るったりかき混ぜたりと、オーソドックスな淹れ方とは違いますが、使っている道具に合わせて少しずつアレンジを加えながら、理想の味に近づけるようにと、コーヒーを淹れています。
日トでは、コーヒーサーバーとカップという形で提供していますが、2杯くらい飲んでゆっくりして欲しいという気持ちからですので、ぜひゆっくりしていってくださいね。


※日トの周辺はほとんど何も無いので、たまにテイクアウトしたいという声がありましたので、マイカップ持参か紙カップでテイクアウトも可能になりました。コーヒーを片手に周囲の景色と自然を楽しんでいってください。